若いママさんの気持ちに寄り添える独女のはなし

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弟が三輪車で乗り込んできた

私が小学校に上がった年、近所の子供たちはみんな幼稚園やら小学校に通い出していて、近所で最も幼かった弟は、急に遊び相手を失った。

そしてヒマを持て余した弟は、行動を起こす。

ある日の授業中、クラスの男子が校庭を指さして言った。

「あれ、オマエの弟じゃねえ?」

見ると弟が、三輪車で校庭を横断している。
私を見つけてにこやかに叫ぶ。

おねえちゃ~ん!!

あのやろう、、、

何よりも目立つことを嫌っていた私は、恥ずかしがった。
ああ、恥ずかしい、恥ずかしい。

大喜びで弟を招き入れた担任

さて、あなたが私の担任だったらどうするだろうか。
速やかに職員室に連れて行き、保護者に連絡をし、親が来るまでは職員室で手の空いている教員に面倒を見させますかね。

が、そこは鈴木先生なので。

鈴木先生は大喜びで弟に駆け寄り、
ひとりで来たの?三輪車で?すごいね~!と褒め称え、
教室の空いている席に座らせて、お絵描きをさせた。
弟は紙とペンを与えられてご満悦。

ああ恥ずかしい、、、、

テンパる母がかけられた言葉

さて。私の記憶はここまで。
このあとは、大人になってから母親に聞いた話。

学校から連絡が来る直前に、弟がいないことに気付いた母は慌てた。
大いに慌てた。顔面蒼白。

そして鈴木先生から連絡をもらい、途中でお詫びの手土産を買って、急いで駆け付けた。
母親としての至らなさと情けなさと、弟が無事でいたことの安堵で泣きそうになりつつ、平謝りに謝る母親に、まあまあまあ、と鈴木先生。

そんなに急いで来なくても良かったのに。
大丈夫ですよ。おとなしく絵をかいて、すっごくいい子にしてましたよ。
一度しか来たことのない学校に、ひとりで来られるなんてスゴイじゃない。
お子さんを頭ごなしに怒らないで、まずは褒めてあげてね。
子育ては大変だろうから。
自分の落ち度だなんて、そんなに責めることないですよ。

大いに凹んでいた母は、この言葉に救われたそうだ。

母もまた、鈴木先生のことをよく憶えている。

独身で子供もいないのに、よく親の気持ちがわかるね。
教員だからじゃない。たぶん彼女の人間性。

私もそんな独身女でありたいと思う。
子持ちママの気持ちを想像できる、独身女でありたい。

中学生の息子がいる今も、毎年、母親にこの話をされる弟が不憫だ。

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