おかあさんというしごと

『お母さんという仕事以上に尊い仕事はこの世界にない』


妊婦さんはもちろん、仮に養子縁組だとしても、『母親』という役割を担っている人に対して、私は常々こう思っていたし、口にもしてきた。

子育てを理由に申し訳なさそうな顔をする同僚や部下に対して、
『いやいや、あなたはもっと尊くて価値のある仕事をしているんだから』
と大袈裟ではなく、心から思い、声をかけてきた。

子供好きが高じて、リクルート退職後にカナダに行き、バンクーバーの保育園で働いたり、帰国後にLITALICOで働いてきたが、その間も『母親』である方達に最大のリスペクトをしてきた。

しかし、いざ自分が出産し育児を始めるとどうだろう。

『あれもできなかったこれもできなかった』
『子育てを理由にしているなんてダメな人間なんだ』
『また寝かしつけと一緒に自分も眠ってしまって時間を無駄にしてしまった』
『こんなに成果を上げられない私は存在価値あるのだろうか?』

気がつくとこんな感じで、自分自身に対し鋭い言葉の刃を向けてしまっていた。

出産したことを一度も後悔したことはない。
だけど、私は子供を産んではいけない人間だったのではないか?
そんなふうに思う日も増えていた。
気がつくと涙が溢れる日が多くなっていた。

ひとりで産むと決めたのは自分。
今の仕事がめちゃくちゃ大変なのもわかった上で、ひとりで産んで育てると決めたのも自分。
だから弱音を吐いちゃいけないって思っていた。

今の私が自分の大切な『後輩』だったら

こんな毎日が過ぎて、『あれ?これ私、心が壊れてしまうぞ』と、自分の中のアラートが鳴ったので、ちょっと視点を変えてみた。

もし今の私が自分の大切な後輩だったら?私は、なんて声をかける??
『子育て言い訳にするんじゃないよ!クソが!!』って言うかな。

ふと、妊娠発覚後、未婚で産むことを大切な後輩に報告した時の話を思い出した。

Mちゃん
Mちゃん

●●さん(私)以上に愛情深い人に私は出会ったことないので、●●さんなら大丈夫です!●●さんのお子さんは幸せ者です

そう言ってくれた。

Mちゃんが新人の頃に教育担当をして以来の長い付き合いで、彼女はその後、会社を代表するトップ営業マンとなり、マネージャーとしても大活躍する5歳の女の子のママ。

その彼女にこんな言葉をかけられて、ただただ嬉しかったし、自信が湧いた。

Kくん
Kくん

●●さんは自分のためには頑張れない人ですけど、人のためには頑張れる人なので、お母さんになることはすごくいいことだと思うし、絶対に●●さんの子供は幸せになると思いますよ!

元北海道のボクシングチャンピオンで、人材業界の優秀な営業マンで、現在はマネジメントをしている彼からの力強い言葉で背中を押された。

…めっちゃ私いい先輩じゃん。笑。
こんないい先輩が、ワーキングマザーとして頑張っている後輩に毒は吐くまい。笑。

Mちゃんからは昔こんな言葉ももらった。

Mちゃん
Mちゃん

●●さんには人を強くする力があります。
●●さんが近くにいてさえくれれば実力以上の力を発揮できる。
それは●●さんが、信じてくれて、愛してくれてることがわかるから。
●●さんが営業担当だとクライアントの業績も拡大するし、後輩や部下がみんな表彰されたりするのは、●●さんが自信をつけさせてくれて、自分を信じることができるからなんだってずっと思ってました。
だからこれからは●●さんもそんな自分のことを信じて、自信にして欲しいです。
だって●●さんは人を信じることは圧倒的に得意なのに、自分のことは信じてくれないんですもん。


(めっちゃいい後輩すぎて泣ける…)

訓練真っ最中

そうだそうだ、私は昔から人の良いところは見えるのに、自分のことには欠点ばかりに目がいくんだった。
というわけで、自分にかける言葉を考えてみた。

『実家の母の力を借りてラクして子育てしているくせに。70歳近い親に頼るなんて。』という自分に対して

『いやいや、お母さんの力を借りたとしても子育ては大変だよ。1人じゃ何もできない小さな命を預かってるんだから。そもそも、ラクして子育てしているって誰と比べてるの?』

『それに、お母さんにとったら孫と娘と一緒にいられるの幸せなんじゃないの?コロナ禍で家族に会えなくて寂しい人たち世界中にたくさんいるんだよ』


と頭の中で返答してみた。

『今日もやるべきこと終えられなかった』『保育園休みで仕事ができなかった』と自己嫌悪になる自分に対して、

『でも娘のためにやれたことたくさんあったでしょ?思い出してごらんよ。娘に笑顔で向き合えたでしょ。娘もママと一緒に喜んでたでしょ。』

と価値転換してみた。

『仕事の成果が思うように上げられないし、仕事に向き合う時間が足りない』と、すぐに成果にフォーカスしてしまう自分に対して

『いやいや、世界で1番大切な自分の家族を大切にできないような営業マンから物を買いたいと思う?そんな人間になりたいの?』

と、自分の軸に立ち戻る声かけをしてみた。

自分を大切な後輩だと思ったら、自然とポジティブな言葉が出てきた。
こんな訓練の真っ最中です。

自分をダイヤモンドのように扱う

私はありがたいことに、リクルート、LITALICOと日本を代表するような『人』を大切にする企業で働かせてもらった。だからこそ、その環境ごとに人生を左右する出会いや出来事があった。
(これも追って書いていこうと思う。)

その中でも、LITALICO時代、ある先輩社員に言われハッとしたこと。

『あのさぁ、自分で自分のこと認めて褒めてあげなかったら、誰が褒めるわけ?辛くないそれ?
多様性を認めるという会社で働きながら、自分の多様性を認められないなんて矛盾してない?』

まさに、ぐうの音も出ないとはこのこと。本当にその通りだよなと。

人には得手不得手があり、特性もそれぞれ。それを認め合う、補い合う。
補い合う方法は、道具でも人材でも教育でもなんでもよくて、その環境で補う方法を見つける。

視力の悪い人が『コンタクトレンズ』という道具によって、不自由なく生活できるのと同じように、自分の苦手なこと、特性的に難しいことはもちろん、物理的にできないことがあったらSOSを出す、リソースを使うことで、自分がよりハッピーに、ご機嫌に生きられる方法を見つける。

…今の私、それできてる??

そもそも、ひとりで子育てなんて無理なわけよ。
産むまで気付かなかったよ!そんなこと!!笑
もっともっと『助けて!手伝って!』って言っていいんじゃない?

『自分で決めたことだから』って弱音言っちゃいけないって誰が決めたの?
私は溜め込んでしまい、後々爆発するタイプだから、リアルタイムで辛いときに辛いって言った方がリスク小さくない?

周囲からの助けにもっと素直に応じても良くない?
母親はもう70歳だし、ここまでお願いしたらまずいかな?って私が決めることじゃなくて母が決めることだよね?

だれよ、お母さんという仕事以上に尊いものはないとか豪語してたやつ。
私でしょうよ。

そんなわけで、もっと私自身の心の声に耳を傾けてもいいんじゃないかとようやく思えるようになってきた。

上述の先輩社員から
『自分を大切な宝物、そう、ダイヤモンドのように扱いなよ』と最後に言われていた。
自分自身を大切に扱えない人間が、自分以外の人の人生を大切にできるわけ?と。

最低限のスタンス

先日、会社の先輩ママ社員にオンラインで話を聞いてもらった。

44歳で、中学生と小学生の息子さんを持つ先輩は、この仕事を19年。
つまり、独身→結婚→出産×2を経験している。
加えて、実のお母様の看取りという介護もしながら仕事をしてこられたとのこと。

めちゃくちゃ無邪気な笑顔で
『うちの2人目の息子なんて身体が弱くてさ、1歳になる前に入院したの!しかも卵アレルギー、小麦アレルギー、お米アレルギーで炭水化物食べるときに制限がかけられるわけよー、超大変だった!!』と話してくれた。

『一通り経験してるから、なんでも理解できると思うから話してみなよ』という言葉に涙が溢れてきて、あぁ、私やっぱり辛かったのかもなぁとようやく認識できた。

『成果を出せない自分が申し訳なくて。同じ会社とはいえ、イレギュラーな異動をさせてくれた前支社の支社長にも、何処の馬の骨ともわからない未婚の母の私を受け入れてくれた現支社の支社長にも恩返しがしたいと思っているのに、どうにもこうにも、どうやったらいいのか、もうわからないです。』

成果にこだわるのではなく、もっと本質的な仕事をしようと思ってはいるものの、私は心からそれを完全に受け入れられていないのかもしれない。

想像以上に仕事の時間を確保できず、成果の上げ方がわからない自分に対して、私の心と脳みそは悲鳴をあげていた。

そんな私の言葉に対し、この先輩は

『それでいいと思う。むしろその想いを持てなくなってしまったら終わりだよ。』
『子育てしてるんだから仕方ないじゃん!!なんて思ったらすぐバレるし、この仕事やっちゃだめ。』


という意外すぎる言葉をかけてくれた。

『だけど、自分を追い込みすぎるのは危険。
少しだけ、ほんの少しだけ今できていないことをやってみよう。』
『自分はこれだけは負けない、これだけは譲れないというものを大切に。』


…ちなみにこの先輩は、お客様の人生にかかわることだから、お客様対応だけは何よりも優先し、スピーディに、正確に丁寧にとのことで、会社の近くに家を購入。
私とオンラインの直前もお客様からお問合せあり、急遽会社に行っていた。
(21時過ぎなのに…こんな担当者なら安心するわ。)

この先輩は最後に、
『同僚の男性に理解してもらおうなんて思うな、無理だから笑。だから辛くなったらいつでも連絡しておいで。』
私もこんなことが言える(精神的な)大人になろうと心に誓った。
そして子育てしてるんだから仕方ない、と甘んじるスタンスにだけはならないよう気をつけようと心に決めた。

さいごに

というわけで、今回は自分が最近向き合っている事象について、忘れぬように備忘録的に長々と書いてみました。

時間をかけるだけかけて、成果を上げる、たとえそれが自分自身を苦しめたとしても。
体と心が悲鳴をあげていたとしても、成果上がらなければ死んだも同然。だから這いつくばってでも働く。

そんな生き方から抜け出したいと思いつつも、抜け出すきっかけがなかった。
いや、案外そんな自分を気に入っていたのかもしれない。
心身を壊した後も、この考え方を変えられなかったから。
いや、正確には変えるのが面倒だったのかな。怖かったのかな。

『おかあさん』という役割を娘から与えられたおかげで、否応なしに、自分が変わらざるを得なくなったわけで。

私にとって『おかあさん』という仕事は、人生をリスタートするきっかけに過ぎず、それはまさに今始まったばかりだ。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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こじらせママちゃん

2021年5月に未婚で出産。20年ぶりに大都会暮らしから、生まれ育った会津若松へ移住。初めての子育てと仕事の両立に日々アタフタし、こじらせ、落ち込みつつも、持ち前の根拠なき自信でご機嫌に田舎暮らし満喫中。

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