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2011年3月11日

ちきりんのブログに泣く

震災の日のことを綴った、ちきりんのブログを読んで号泣。

その日の出来事を淡々と書き綴る文章は、村上春樹のアンダーグラウンドのように、ただただ泣ける。

ちきりんのブログに感化されて、わたしも書いてみる。311の出来事を。
そういえば、だれにも話したことがなかったかも。

311は私の誕生日の次の日

あの日、私は、山口に住む友人が送ってくれた、ふぐちりセットで誕生日祝いをすることを楽しみにしていた。

帰ったらふぐちり!早めに仕事をやっつけてふぐちり!

朝からそう思ってた。

冷静すぎるほど冷静なわたし

地震直後のわたしの動きは、我ながらパーフェクトだった。

品川イーストワンタワー18階は、船酔いしそうなほどに揺れ、最新の耐震設計ゆえに揺れるのだと頭ではわかっていても、ビルの真ん中でポキっと折れてしまうのではないかと不安にかられるほどに揺れた。ぐわんぐわん揺れた。

揺れがおさまり、ふと後ろの席を見たら、隣の部署の30代女子が机の下に潜って泣いていた。

確かに恐怖を感じるほど揺れたけど、泣くほど?
あなたわりとクールなキャラじゃなかったっけ?

そう思って気づいた。
彼女は関西出身だ。
阪神大震災を経験しているのかもしれない。

自販機でペットボトルのお水を買ってきて、彼女に手渡し落ち着かせた。

隣の席の仲良しの同僚(中国人)が、こんなときに限って入国管理局になにかの手続きをしに行っていたので、無事を確認する連絡を入れた。

直属の女性上司も、こんな日に限って珍しく客先に出向いていたので、無事を確認する連絡を入れた。

二人の無事を確認したあと、部長に報告しに行った。

「外出している二人と連絡を取りました。無事です。」

女性部長が言った。

「佐藤さん、ありがとう、、、わたしが気付けなくてごめんなさい」

部長、大丈夫です。わたしは非常時に力を発揮するタイプなんで。

危機感なさすぎと言われる

その日、私の部屋で一緒にふぐちりを堪能しようと約束していた彼に、TwitterのDMで連絡した。

「大丈夫?ところで今日は何時頃に来られそう?」

仕事で都内にいた彼からすぐに返信がきた。

「え?まさかこのあと電車が動くと思ってる?」
「今日中に電車が動くことはないし、帰れないと思った方がいい」
「いますぐ品川のホテルを予約して。そこまで歩いて向かうから。」

ええー
大袈裟すぎじゃない?
夜になれば電車も動くでしょ

この時点ではまだ、ほとんどの人が津波の映像を目にしていないし、都内の街中の様子も知らない。
もちろん、イーストワンタワーの中にいた私も。

彼は建物の外に避難して、街の様子をすでに見ていた。
あまりにのんびりしてる私に彼が言う。

「どれだけ危機感ないの?」
「いいから早くホテル取って。すぐに予約が埋まって取れなくなるから。」

社内で誰よりも冷静に対応ができている、鬼ほど優秀なわたしにダメ出しをするとは。
まったくもって信じられない。

大袈裟だな〜と思いつつ、渋々予約サイトをみると、すでに品川のホテルは満室だった。

あ、まずい。

仕方なく大崎のホテルを予約する。

大崎のホテルを予約したことを伝えると彼が言った

「○ちゃん(※中国人の同僚)にもホテルに来るよう誘ってあげて」

いやいやいやいや
確かに今夜は家に帰れないかもしれないけれど、歩いて自宅まで帰るのと
不倫カップルと一緒にホテルに泊まるのと、どちらも同じくらい苦痛ではないだろうか?

そう返信して、同僚に声をかけたら、案の定、丁重にお断りされた。
そりゃそうだ。
わたしも同じ立場なら、歩いて帰るほうを選ぶ。

大崎のホテルで過ごした夜

夕方、品川から大崎まで歩いてホテルに向かった。
ホテルの前でおじさんたちのグループが騒いでいる。
満室だと言われて、なんとかならないかと交渉しているようだった。

チェックイン後、大崎のゲートシティに食べ物とお酒を調達しに行った。
お酒はいくらでもあったけど、食べ物はろくなものがなくて、レーズンとかチーズとかクラッカーとかを買ったような気がする。

同じ都内とはいえ、相当な距離を歩いてきた彼とホテルで合流。
信じられない光景のテレビを一緒に見てるいると彼が言った。

「メルトダウンが起きる」

メルトダウン?

なにそれ?
この人、ホントなんでも知ってるな〜と感心した。

じゃあね、ばいばい

翌日、昼過ぎだったか昼前だったか。
ようやく電車が動き出し、彼と一緒に電車に乗った。
じゃあねと言って、わたしが先に降りた。

あんまりよく憶えていないけれど、放射能のこととか、とてもとても不安だった。気がする。

こんなに不安なのに、一番頼りたい人なのに、じゃあねと言ってここで別れるのか。なるほど。そう思った。

それでも、震災当日の一番不安な日には、一緒にいられたんだな。不思議だな。とも思った。

いまはもう付き合いのない彼だけれど、たとえば彼が被災地にいたら、ものすごく張り切って避難場所で仕切るのだろう。そういう人だ。

わたしもそういう人でありたい。

非常時に活躍できる人が、この世で一番カッコいいと思っているから。

これがわたしの311の出来事と記憶。

さとちゃん: 1973年早生まれ。2023年8月から老老認認介護をサポートするため実家暮らし。推しはSixTONESジェシー。使命はライトワーカーとしての任務を果たすこと。