2022年3月18日追記
保護犬猫愛護ボランティア活動をされている方たちと接する機会が増えて、現場の過酷さに慄いている。私の想像を遥かに超えていた。
正直言うと、愛護活動をされている方たちが苦手でした。
「自分の正義」を押し付けてくる感じと、殺処分寸前の画像をSNSにアップしたりするところが苦手でした。本気で具合悪くなるから即ブロック。
でも、関わってみて思った。私が活動している立場だったら絶対にこう言う。
「都合の悪いことから目を背けて、甘いこと言ってんじゃねーよ」
「動物が好きなら飼わない(買わない)選択もしてほしい」と、ある方がおっしゃっていました。
本当にそうですね。
この記事は、私が過去に出会った「飼わない選択をした人」について書いています。
記事内では(当時の私は)「飼えばいいのに」と軽く言ってますけど、彼は本当に動物が好きな人だったんだなと改めて思う。
動物愛護活動をされている方、猫嫌いの方には、眉をひそめられてしまう内容も一部ありますが、ぜひ読んでみてください。
※ここから先は過去に書いた記事です。
黒猫のこだわり
ウチの黒猫は、うつわに入った水を飲みません。
そう静かに主張し、洗面台のふちに座り、人間(わたし)が水を出してくれるのをひたすら待ちます。
だれだよ、こんな面倒なことを教えたのは。
先住猫のキジトラ二匹は、ちゃんとうつわから水を飲むので、彼らが教えたわけじゃない。
犯人は分かってる。
以前、住んでいたアパートの二軒隣の住人だ。
本宅と別宅を行き来する猫たち
以前住んでいたアパートは、いわゆる「ペット共生住宅」と呼ばれる仕様で、犬の足洗い場があったり、室内の壁紙も猫が爪とぎできないツルツルのものだったり。
猫が背伸びして手を伸ばしたギリギリの高さまでがツルツルで、猫の手が届かないところからは普通の壁紙に切り替えられているという見事な設計。あれ良かったなあ。
さて、3匹いるウチの猫たちは、外と室内を出入りできるようにしていたのですが、気づくと3匹とも長時間不在のことがあり。
その頻度が多くなり、夜になっても帰ってこなくなり、朝、猫の姿を1匹も見ぬまま仕事に出かけることもありました。でも帰宅すると3匹全員揃ってる。
そんなある日、ついに目撃します。
ウチのキジトラが、アパートの2部屋隣のおうちのベランダ側サッシから、堂々と侵入していくところを・・・
また別の日には、黒猫が吸い込まれて行った・・・
よく見てみると、サッシが猫幅間隔に開いている。
ん?どういうことだ?
隣の隣の住人が、一人暮らしの30代前半くらいのお兄さんであることは知っている。
はたして・・・
- 煙草を吸うときにサッシを少し開けている?(そこに3匹が侵入)
- お兄さんちにも猫がいて、常に猫幅にサッシを開けている?(そこに3匹が侵入)
- ウチの3匹を招き入れるために、わざわざサッシを猫幅に開けている?
歓迎されているのか、迷惑されているのか判断つかず。
クレームが怖くて聞くこともできぬまま、月日は流れ。
いよいよ今週末引っ越し!
たとえ文句を言われても、引っ越すから大丈夫!
となったギリギリのタイミングで、勇気を出してお兄さんちのドアにメモ紙を貼り付けてみた。
「いつも猫達がお世話になっております。今週引っ越します。今までありがとうございました。御礼を申し上げたいので、お帰りになりましたら声を掛けてください。101佐藤」
お兄さんの心情
「メモを読みました~」と、訪ねて来てくれた隣の隣の部屋のお兄さんと話してみて、わかったこと。
- 猫は飼っていない。
- 人生で猫を飼ったことは一度もない。
- 猫は好きだが、仕事で帰りが遅く、出張で家を空けることも多いので、飼えない。
- 猫が頻繁に遊びに来てくれて嬉しかった。3匹揃っていることもよくあった。
- 飼い主(わたし)の許可なく、勝手に部屋に引き入れていることに、後ろめたさを感じていた。
- 後ろめたさを感じつつも、ペットショップでカツオ節を買い、おやつとして与えていた。
- 猫のおもちゃも買ってみた。
- 猫ハウスも買ってみた。
そっくりなキジトラ兄弟は、飼い主以外は見分けがつかない。
「キジトラ2匹、見分けつきますか?」と聞いたら、ちょっとムッとした様子で「もちろんですよ!」と言い返された。
飼い主の私ですら知らない見分け方を教えてもらった。
鼻のホクロで見分けるなんて、細かすぎるわ。
御礼のビールを渡したら、「あ、ぼくも渡したいものがあります!」と
ウチの猫達用に買ったという、かつお節と猫ハウスとオモチャをいただいた。
・・・愛されていたんだなあ、ウチの猫たち。
やるな、あいつら。その社交性たるや。
外にファンを作り、厚かましくも3匹揃って家に上がりこんで、勝手に生活クオリティを向上させていた。素晴らしい行動力。
なんで家でごはんを食べなくなったのかわかった。
お兄さんが与えるごはんのほうが、レベルが高かったからだ。
かつお節以外にも与えていたに違いない。
そんな行動力溢れる猫たちに比べて、わたしは・・・
勇気を出せなかったことを猛烈に後悔。
思い返せばお兄さんは、顏をあわせたときにいつも何か言いたそうにしていた。
思いきって話をしてみればよかった。
もしかして猫クレーム?と、怯えていた私は、挨拶だけして逃げるようにその場を立ち去っていた。
もっと早くに話をしていたら、猫を通じてお兄さんとも友達になれただろうに。
本当の動物好き
そんなに好きなら、飼えばいいじゃないですか。
ここペット可物件っていうか、ペット共生住宅なんだし。
そうお兄さんに言ったら、
「飼えませんよ~、一人暮らしだし、帰りも遅いし、家を空けることもあるし、いつ引っ越すかもわからないし。」
それ、ぜんぶわたし当てはまってますけど。
お兄さんは会社の社宅として住んでいたので、わざわざこの物件を選んだわけではなかった。
飼ってみないとわからないこともある。
私は動物好きの両親のもとに生まれ、家にはいつも動物がいた。
犬も猫もウサギもニワトリもインコも。
猫は犬よりも断然ラクです。
ゴハンとトイレさえ用意しておけば、あとは適当に自力で生きてくれます。
2日くらい家を空けても問題なし。
ゴハンを多めに与えておけば、何回かに分けて食べます。
犬みたいに、あればあるだけ一気に全部食べちゃう!
なんてことはしません。
「責任持てないから飼えない」という本当の動物好きの人こそ、飼える環境を整えて飼ってくれたらいいな。
ペットショップじゃなくて、保健所の殺処分待ちの猫たちを。
まずはお試し的に保護ボランティアからでも。
動物と暮らすリスクと得られるもの
「ペット可アパート」ではなく、「アパート全体で保健所から譲り受けた犬猫を飼い、住人みんなが飼い主で、持ち回りで面倒を見る」というアパートを経営するのが夢です。
いま、雨上りの夕方に、黒猫がはりきって出かけて行きました。
「期待して待っててね!」
と言っているかのような、得意げな顔でこちらをチラ見して出て行ったのが、大変気がかりです。
なぜだかわかりませんが、雨上りは獲物を捕まえやすいようです。
今日はなにを持ち帰ってくるのか、不安でいっぱい。
わたしはモフモフ好きですが、鳥類と虫と爬虫類が苦手で、ネズミはいまネズミと書くのも嫌なくらいなのでドラえもんにも負けないくらい無理です。
そしてハムスターはネズミです。
キジトラがネズミを咥えて帰ってきたときと、仕事から帰宅したら鳥の羽が部屋中に散乱していて、派手な色の小さな鳥が、綺麗なカタチのまま「頭部だけ」部屋に転がっていたときは、恐怖で声も出ませんでした。失神3秒前。
部屋で爪とぎをされるリスクもあります。
賃貸契約時に3ヶ月分払わされる敷金が、退去時に戻ってきたことは一度もありません。
壁紙の張り替えで追加料金を取られることも多いです。
上で書いたように、獲物をお持ち帰りされるリスクもあり、引越しのときは、毎回、冷蔵庫を動かすのが怖くてたまりません。
干からびたあらゆるものが、あそこに滞留しているのはわかっている。恐怖。見たくない。
ペットロスに陥るのでは?というリスクもあります。
猫たちの具合が悪いとオロオロし、他のことが手につかないくらい、どよーんと気持ちが滅入るので、この子が死んだら、わたしどうなっちゃうんだろう?と不安になります。
でも、それでも。
本物の動物好きの人には、リスクを引き受けてみてほしい。
引き受けた先に待っているのは、不安やリスクなんて吹っ飛ぶくらいに、楽しく癒される毎日だから。