仙台で同棲していた彼の実家は、素敵など田舎でした
限りなく青森寄りの岩手県。
彼の実家から見える目の前の山々は、「マンガ日本昔話」のオープニングのようで、そのうちスーっと龍が泳いできても不思議じゃないな、と思えた。
夜、寝るときに聴こえてくる音は川の水の音?と思ったら、カエルの大合唱。
散歩ついでに汲んできた湧き水で淹れたコーヒーが、ものすごく美味しかったり。
自分たちで食べる分だけ作っているお米が、これまた美味しく。
星って見え過ぎると塵の集合体で、あんまりキレイじゃないんだなと知った。
キレイに見えないほどの、満天の星。
いちばん驚いたのはα派の威力
でも、なににいちばん驚いたかというと、常に眠たかったということだ。
車の中でも彼の実家でも。
強いα波に包まれて、しょっちゅう睡魔に襲われた。
疲れていたわけじゃない。
ただただ居心地が良くて、山々に包まれて守られている安心感があって、眠たかった。
ここで、子供を産んで育てる暮らしはいいな、と思った。
「北の国から」が大好きで、当時、鉄腕DASHを欠かさず見ていた、田舎暮らしに憧れていた私。
生まれ育った人のリアル
しかし、そこで生まれ育った彼は違った。
「北の国から」も嫌いだと。なぜならリアル過ぎるから。
田舎の現実を知らないで憧れているだけだよ。
田舎で仕事が無いというのがどういうことか。
近所に自殺者がどれほどいるか。
田植えでどれだけ腰が痛くなるか。
あなたは何も知らないで憧れてるだけだよ。
バッサリそう言われた。
そんな彼は、仙台に家を建てて暮らすことを望んでいた。
住宅が立ち並ぶ街の一軒家で、近くにジャスコがあって、買い物に不便しない街。
それはまさに私の実家で(時代的にジャスコじゃなくてダイエーだけどね)、私はそんなところに住むのはつまらないと思っていた。
価値観の相違
お互いがお互いの子供時代を「いいな~」と羨ましがっていた。
彼と結婚できず後悔しているのは、あの最高に気持ちのいい田舎町を、自分の故郷にできなかったことだ。
あの素晴らしく癒される場所で、子どもを産み、育ててみたかった。
まだ、田舎暮らしの野望は捨てていない。
実家に帰る前提の、五島列島あたりの男性と仲良くなりたい。
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