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カッコいい25歳女子に教わったこと

赤いスポーツカーのお姉さん

短大生のときに着物のパーティーコンパニオンのバイトをしていた。
自分で学費を払っていたので、稼ぐ必要があったのです。

事務所に行って、着物に着替えて、ワゴン車に乗り込んで会場に連れて行かれる、20~25歳くらいの女の子たち。
人数多めの現場では、総勢20~30名。
その中に、普段はOLさんをしているという、25歳のお姉さんがいた。
チーフコンパニオンである彼女だけは、みんなと同じワゴン車には乗らず、真っ赤なスポーツカーを(着物で)自ら運転し、現場に向かう。

だっせー
赤いスポーツカーとか、だっせー
どんだけ稼いでるのよ、お姉さん。
高飛車なイメージの彼女に、あまり良い印象を持てなかった19歳のわたし。

世の中なめきった19歳の私

さて、ある日の現場にて、私は痛い目に遭う。

20代半ばくらいの客に気に入られ、オレ様の隣にずっといるように、と命じられる。
身の危険を感じる19歳のわたし。
相手は相当酔っている。
触られるのは嫌だ。

ズルい私は、私の紹介でこのバイトを始めた、美人の友人を差し出した。

「わたしより、うんと美人の彼女を隣につけておくんで!」

「ふざけんな!」

若い客、私の舐めくさった言動に、猛烈にキレる。
この男が幹事であったため、事態は最悪に。

「こんな客をバカにした、ふざけたコンパニオン、見たことねーよ!」

「お開きだ、お開き!お前ら、もう帰れ!」

「おい、責任者だれだ!出てこい!」

ああ、しまった。相手が若造だと思ってなめていた。
怒らせてはいけない人を怒らせてしまった。

私のせいで現場がパーになる。
みんなのバイト代はどうなるんだろう?
ああ、どうしよう。。。
顔面蒼白。

強気なお姉さんに助けてもらう

しかし、呼びつけられたチーフ姉さんの対応はどこまでも強気だった。
コンパニオン全員に、一旦、会場から出るよう指示を出し、当事者である私だけを残して、お客様相手に一気にまくしたてた。

「彼女は悪くありません。泥酔しているお客様に対して身の危険を感じたからあなたを避けただけです。」

「ウチはお触りは一切ナシと、事前にお伝えしているはずです。」

「そちらのご希望で帰されるのですから、お代は全額いただきます」

「ふざけんじゃね~よ!!」さらに怒り狂う若い客。

たぶん、チーフ姉さんと同じ歳くらいじゃなかろうか。

「話になりませんね。この方のほかに幹事さん、いらっしゃいましたよね?」

別の幹事にチャッチャと話をつけて、しっかりお代をいただき。
事態発生から撤収まで、あっという間だった。

それでも責任を感じて凹む私を、帰りはスポーツカーの助手席に乗せてくれた。
この仕事してると、こんなこといっぱいあるよ。気にしなくていいよ。
もしかしたら、ウチの社長(女)が仕事取るのに「多少のお触りならアリ」と言っているのかもしれない。あのババア。
でも、あなたは何も悪くない。
社長の前でも堂々としていればいいんだよ。

カッコいい。
見た目の印象でバカにしていてすみませんでした。
あれだけの人数の男の人を相手に、堂々と渡り合えるあなたが、
ホントにかっこよかったです。
直接は言えず、心の中で思っていた。

20年も前のことを、いまも鮮明に覚えているのは、それだけ感動したからだ。
たかだか25歳の小娘の、彼女の媚びないカッコ良さに。
彼女のように仕事をしたいと、ずっと思ってきたのかもしれない。

最近のわたしは、ちょっとダメだな。かっこ悪いな。
軌道修正しよう。

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さとちゃん: 1973年早生まれ。2023年8月から老老認認介護をサポートするため実家暮らし。推しはSixTONESジェシー。使命はライトワーカーとしての任務を果たすこと。