鈴木先生の唐突な発言に泣いた生徒
前にも書いた、鈴木先生のはなし。
ある日突然、何を思ったか鈴木先生がこんなことを言い出した。
「先生にも好き嫌いはあります。人間ですから。
好きな生徒もいれば嫌いな生徒もいる。
好きな父兄もいれば、嫌いな父兄もいます。」
この発言を受けて、ひとりの女の子が「ワーン」と声をあげて泣き出した。
母親がなにかと鈴木先生にクレームをつけてくる人だったので、間違いなく自分の親は嫌われていると思ったのだろう。
そのとき、先生が彼女になんと声をかけたかは覚えていない。
ただ、子供心に「わざわざそんなこと言わなくても、、、」と思った記憶はある。
鈴木先生の席替えは強烈だった
男女隣同士で座る席の、自分が希望する相方(男子は女子、女子は男子)を手を挙げて指名しなければならない。
指名された相手がOKをすれば、男女ペア成立。
早いもの勝ち。
成立したペアから好きな場所に座れる。
男子と仲良しの女子から売れていく。
私はこの頃、男子の友達が多くて男子にとっての「指名しやすい女子」だったので、すぐに売れた。
これ、ちょっと想像してみてほしい。どんな修羅場なのかを。
えー?そんなのヤダー!と最初は大騒ぎする子供たち。
うるさい!黙れ!ガキどもめ!と、ニヤニヤしながら一喝する鈴木先生(注:一応、女性です)。
そのうち、勇気ある男子が女子を指名し始め、周りがヒューヒューと囃し立てる。
そんな、緊張感はあるものの、大盛り上がりの序盤戦。
が、しかし。
いつまでたっても指名されない大半の生徒は焦り始める。
もはや、人のことを囃し立てている場合じゃない。
小学三年生が人生で初めて感じる焦燥感。
「私、指名するからOKしてね」
クラス中のあちこちで駆け引きが始まる。
それでもなかなか決まらない生徒。あぶれる生徒。
見事なまでに描かれていくスクールカースト。
かなりエグイ光景だ。
この世は平等ではないと教わった
子供だったので頭で理解はしていない。
ただ、先生のあまりにエグイやり方を体験して、身をもって感じたのは、この世は平等ではないということ。
好かれる人もいれば、嫌われる人もいる。
人気のある人もいれば、不人気の人もいる。
日頃、「あいつ気持ち悪い~」とおとなしい男子をからかっている意地悪な女子が、誰からも指名されず、「気持ち悪い」とこき下ろしている男子とペアにならざるを得ない屈辱。というか現実。
そんなものを小学三年生で目の当たりにした。
こんなこといまやったら大問題なのかもしれないけれど、世知辛いこれからの世の中を生き抜かねばならない、いまの子供たちにこそ、こんな先生が必要なんじゃないかと思う。
手をつないで、みんなで一緒に徒競走のゴールテープを切るようないまの子供たち。
お遊戯会で、猿とキジと鳥がそれぞれ3匹くらい出てくるような鬼ヶ島を演じている子供たちに。
世の中は平等ではないし、自分で解決しなくちゃいけないことも山ほどあるんだよ、と教えてあげたい。
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